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「まだ。
歯磨き終わるまでは寝たらあかんで」
「………」
「貫太!ほら、あーんして」
「………」
湯上がりの火照った体をフワフワのバスタオルで包んだ頃には案の定貫太の爆発も治まって、つま楊枝ぐらい細くなった両目をシパシパさせながら頭を前後に大きく揺らしていた。口だけを大きく開いて、ゴシゴシと歯ブラシを動かす私のなされるがままになっている。
日常では、一時もジッとすることができず、舌足らずの幼い喋り方しかまだできない弟の貫太。私と13歳離れて生まれた貫太を両親は溺愛しているけれど、手がかかるのは幼い年齢のせいだけではなく、持って生まれた落ち着きのなさと抑えられない好奇心のせいも大きいと思う。
「栞奈、ありがとう。お風呂大変やったやろ」
「お父さんの髭剃り、めっちゃ投げてた」
「!
貫太ー…、髭剃り投げたらあかんやろーもー……」
「お父さん、怒るんやったらもっとちゃんと怒って」
「どこも怪我してないか?かんちゃん、もう眠いんか?よしよし…」
「………」
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