輝きの高校十二月(じゅうにつき)

春

“長谷川(はせがわ) こころ”は、高校入学と同時に中学から始めた流れで女子バレー部に入部した時に出会った友達で。悪気なく思ったことをそのまま口にするストレートな性格の持ち主。初対面では正直驚いたけれど、その性格のお陰で人見知りの私でもすぐに仲良くなることができた。クセの強い先輩達に翻弄されながらも毎日楽しく練習に取り組めているのも、こころの存在があるから。

くっきり二重にばっさり切ったクセっ毛の髪。

本人は「矯正縮毛したい」らしいけれど、ミュージカルに出てくる“モ○”みたいで、誰からも親しまれるくらい可愛い。

その愛嬌ある顔から更に唇を尖らせて

「アタックの練習までには絶対、戻ってきてや。栞奈の代わりにトス上げなんかさせられたら“どこにトス上げてんねん”って私らが怒られんねんからな。分かってるやんな」

とこころがジリジリ迫ってくる。

「終わる時間、知らされてへんから…」

恨めしそうなこころの視線から逃れるように私は、煮えきらない返事をしてそそくさと自分の席に着いた。

“ごめん、こころ……”