ヒーロー

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「浜英くんはサッカーの実力は物凄いのは私も分かっています。ですが、速化高校(しゅんかこうこう)のサッカー部は推薦された人しか入ることが出来なく、浜英くんに推薦は来てませんので…」 三者面談。進路を決める時期。 俺は強いチームに入り、全国制覇を目指すため全国高校サッカー選手権38年連続優勝をしている速化高校への入学を希望した。 しかし速化高校のサッカー部に入るためには中学校3年の6月までに高校から推薦が来た人間のみしか入ることが出来ない。 そして俺に推薦は来ていない。 「雄一。推薦は来てないんだから諦めて他の高校に…」 「俺はサッカーで全国制覇したいんだ!」 「浜英くん。もし君が速化高校に入れたとしても当然君よりも上手い選手がたくさんいるでしょうから、試合に出ること自体難しいかもしれません。だから『君が全国へ連れていく』ほうが君にとっては良いんじゃないですか?」 おじいちゃん担任は落ち着いた口調で俺を説得した。 「俺が皆を全国に連れていく…」 「君は言っていたでしょう。サッカー部に入ったばかりでなかなか試合に出られないときに『俺がみんなをテッペンに連れていって全国の"ヒーロー"になる』って」 「っ………」 そうだ、俺は仲間を強くするのに必死で初心の心を忘れていた。 「お、俺!ここ行きます!柳津高校。ここ入って俺、みんなをテッペンに連れていきます!」 ここから俺の本当にしたかったサッカー人生が始まった
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