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久しぶりの田舎。ゆっくりと流れる時間と澄んだ川の水のせせらぎや空気が身体中に染み渡る。
俺は今、ばあちゃんの家にお世話になっている。
都会の喧騒を離れた大学二年生の夏休みは、もの懐かしさと安息で心地良いものになるだろう。
「今日もお手伝いありがとうねぇ。優佑くんがいると畑仕事がはかどるけ、おらも楽になるだ」
「なんもなんも。俺がこっちに世話になってるからこれくらい手伝わせてよ」
午前中は畑仕事を手伝って、午後は特に何もなければ自由時間にさせて貰っている。
田舎ならではの広い畑をばあちゃん一人で見ているから大変だろう。
父は10年ほど行方不明で、じいちゃんは数年前に死んだらしい。いろいろ事情があって知ったのは最近だけど。
「他にもできることあったら言ってね」
「こんな田舎っこに優佑くんが来てくれただけで嬉しいんだ。畑仕事だけで十分だべ」
ばあちゃん曰く、家事は前からやってて苦はないから、男手がなくなって大変になった畑仕事だけやむなく手伝って貰っているらしい。
旨い料理を出して貰えて、広々と部屋も使わせてもらっているにも関わらず、あまりお返しができていないが、楽しく過ごしてほしいという言葉に甘えて午後は山に散策に出ている。
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