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エピローグ
本番はまだ翌日に控えていた。
彩夏たち一行は再会の後、教会近くのロッジをいくつか貸し切ってゆっくり過ごした。
翌朝光橋は、彩夏にきちんと同じ教会で結婚式をあげると言った。
驚く間もなく彩夏は髪は三つ編みでアップにし、胸元がビスチェタイプでプリンセスラインのウエディングドレスに着替え、結婚式は行われた。
立夏が作った白いバラとガーベラがメインのブーケを手に持った彩夏はブーケトスもした。
投げた先が何故か高本で反感を勝ったのは言うまでもない。
涙あり笑いあり。彩夏にとって忘れられない結婚式となった。
式を終えて、光橋と彩夏は自分たちのロッジに戻った。二人は衣装のままである。
「ふう…部屋に服着せてくれた地元の人たちいつ来るん?」
彩夏と光橋に衣装を着せてくれたのは、教会を運営する地元の人たちだった。脱がせてくれるのも当然その人たちだと彩夏は思った。
「…こない」
「え?どういうこと?」
光橋は顔色を変えずジャケットと衣装のタイを外す。
「みんなあれからバスに乗って観光に行くからてっきりうちらも後から行くんかと…」
「俺たちはいかない」
彩夏が光橋に近寄ると、シャツ袖口のボタンを外していた。
「どういうこと?」
光橋は黙ったまま彩夏の腕を掴み、そのまま寝室に連れて行く。光橋に軽々ベットに押し倒されて、彩夏はようやく事態を把握した。
「もしかして…もしかして!?」
「そうだ。そのもしかしてだ」
「せ、せめてシャワーを!!」
「ダメだ」
「ドレスは?うち背中のこんなやつとか解かれんし、コルセットかって…」
「着せてくれた地元の人に聞いておいた。心配ない完璧だ」
顔色変えずそんなことを言われては、彩夏は逃げ場がない。
「彩夏、言っただろ容赦はしないって」
「そう言えば…言ってた気もするけど、でもなー」
いざとなると惚ける彩夏に、光橋は眼鏡を外す。
「彩夏は俺と一緒にいたくないのか?」
「も、もちろん光橋さんと一緒にいたい!」
光橋は彩夏が一番弱い困った顔で見つめている。
「だったら彩夏、これ以上俺を困らせるな」
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