美里町ホームカミング 1

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 仙台って人が多いなあ。未だにそんなことを考えてしまうのは、私が田舎者だからだ。  学校からスクールバスで仙台駅まで向かう1時間。見える風景にもだいぶ慣れた。明日から始まる連休に、車内の雰囲気も少し明るい。私はというと、知らない生徒と隣同士になって少し気まずかった。まあ、入学して1年以上経った今でも特定の友達がいない私のことだから、たとえクラスメイトが隣に座っていたとしても同じような状況だったと思うけれど。  そう思っていた矢先、隣に座っていた生徒が北仙台辺りでスクールバスを降りると、小柄な女の子が声をかけてきた。 「はずむちゃんお疲れ」 「お疲れ」 「隣いいかな?」 「あ、うん。どうぞ」 「ありがと」  アニメのキャラクターみたいな、高くて可愛い声。入学してすぐのオリエンテーションで、声優を目指していると自己紹介した子だ。 「はずむちゃんも同じ方向のバスだったんだ。1年間乗ってたのに全然気付かなかった。どこに住んでるの?あたしは折立」 「私は美里」 「えー、じゃあ仙台駅からまた電車に乗るんだね?遠いね」 「うん。でも慣れるもんだよ」
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