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社長の彼女は「うーん」と焦りの滲んだ表情を浮かべ、「秘密にしててくれる?」と私を見た。くりくりとした大きな目。こんなに理想ぴったりの女の子は初めてだった。私は少しだけいたずら心が芽生えた。
「それじゃあ、えっと、私のお願いも聞いてもらっていいですか」
「とりあえず聞こうか」
「LINE交換してください」
私の一言に彼女は少しの間を置いて首をかしげる。「社長の?」
「社長の彼女さんの、です」私は祈るように両指を組んで「お願いします」と言った。
社長の彼女は困ったような顔をして顎のあたりに触れて目をそらす。「そうだなあ」
「SNSで拡散とかしないので」
「うーん、わかった。いいよ」
「やった」私はスマートフォンを出した。IDを交換すると「そのこ」と名前が表示される。
「そのこさんっていうんですね」
「君は佐々木はずむちゃんか」
「はい」
「はずむちゃんは、本当に私のLINEで良かったの?」
「もちろん」大きくうなずく。喜びと期待で胸がいっぱいになった。
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