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「そうなんだ」それから彼女は思い出したようにスマートフォンを出す。「美里に住んでるとさ、社長に会ったりするの?」
「社長?」
「イケメン社長だよ。今朝からバズってるの」
「星口玩具の」
「そうそれ」
そのイケメン社長がどうかしたのだろうか。アニメ声の女の子が自分のスマートフォンを見せた。スマートフォンを借りて記事を読む。
それによると、イケメン社長こと星口玩具東北支社長、星口二郎が美女と一緒にいる様子が目撃されたとのことだった。彼が独身ということもあり、結婚間近と言われているらしい。記事には、車に乗り込む女の人の画像が載せられていた。フリルのついたブラウスまでよく写っている。彼女の背後に見えるのは、確かに私が毎日利用している小牛田駅だ。
「やっぱ社長の彼女って綺麗だよね」
「綺麗っていうか、可愛い系?」
「脚細いよねー」
私はアニメ声の女の子にスマートフォンを返した。
「私は、社長に会ったことはないかな」
「なんだ、結構普通に町内歩いてるみたいなんだよ」
「そうなんだ。あんまり意識してなかったから気付かなかったのかもね」
「サインとかもらってきなよ」
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