親切心

ベビーカー

子供がいると本当に大変だ。暑い日は特にひどい。私は三カ月前に子供を産んで、産むのも大変だったが、生まれてからも延々と大変だ、と言うことを知った。先ず、バスに乗ることすら難しい。赤い大きなバッグが肩に食い込む。この中にはオムツやピンク色の哺乳瓶が入っている。更に、子供を乗せたベビーカーをどうするのかという問題がある。大抵は周りの乗客に嫌がられる。誰か助けてくれと願っても、叶わない。もう、ずっと寝ていたい。
しかし、今日は私の願いが叶う日になった。
今日も仕方なくバスに乗ろうとしたところ、ふわふわの白髪に赤い目の青年が一人やって来て、ベビーカーを乗せるのを軽々手伝ってくれたのだ。その青年はとても優しい笑顔で、席を取ってくれ、隣の席に座り、「お母さんは大変ですね」と、私が欲しい言葉を掛け続けてくれた。そう、私の欲しい言葉を何でもくれたのだ。