虹の大地

願い

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豪雨は夕暮れのオレンジ色の空をまるで
霧が掛かったように先を見えなくした。

仰向けに寝そべったタケルは大口を開けて
乾いた喉を潤しながら安堵の表情を浮かべた。

「ねぇ…これで良かったの？
本当にお母さん(・・・・)と離れて暮らすの?」

不安そうに言うリナの髪をタケルが撫でる。
銀色がかった髪は母親(メイサ)に良く似ていた。

「お母さんと同じ巫女(みこ)の血を引くお前は
干ばつに悩むこの国の祈祷師として一生を終える
のではなく外の世界を見せてやりたい。
それがお父さんとお母さんの願いだ。
現在(今)の決断が正しいかどうかは誰にも
分からない…でも次の世代(リナ)の未来に
繋がる事を信じている」

干ばつで苦しむ国難の中開催する決定が
下されたアクア・ラルタもきっと…

見上げた夕空セレーヌの町には虹が掛かっていた。
この町でタケルとリナの新しい人生が始まる。