4話 異名な雰囲気

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4話 異名な雰囲気

学園につくと、何かが違った。 「これは…。」 「何か、変な雰囲気だよね。」 そうだ。 朝から学園中が騒がしかった。 いや、いつも騒がしいのだが、今日はその騒がしさの中に何か異名な雰囲気を感じられる。 「そういや、琉生はもう学園に来てるんだっけ?」 「そうだよ。一馬が来るの遅かったから先行ってもらったの。私が迎えに行ってくるからって。」 「そうか、申し訳ないな。」 「いいよ、別に。私も気にしてないし、琉生だってきっと許してくれるよ。」 「そう言ってもらえるとすごくありがたいな。」 「ってか、そーやって謝ってる暇あったら、早く琉生のところ行こうよ。」 「それに…。」 「それに?」 俺が聞き返すと京香は、 「この雰囲気怖いし、早く3人でいたい。何か嫌な予感もするし。」 京香は不安そうに言った。 「そうか、わかった、だったら早く行こう。」 「うん…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー そうして俺らは教室に来た。 幸いな事に、俺ら3人のクラスは同じクラスで同じ教室だ。 だから、いつも一緒に居ることができる。 孤児時代からずっと3人で支え合ってきたから、いつも3人で居ないと不安になることが多々ある。 俺はそうでもないが、特に京香あたりが。 そんな事を考えてる間もこの異名な雰囲気はずっと続いている。 まぁ、大体原因はわかるが、鬱陶しいったらありゃしない。 自分が巻いた種なんだけどな。 「おーい、遅ぇぞ。何してたんだよ。」 すると、向こうから声が聞こえる。 見ると、琉生が手を振りながらこっちに向かってくる姿が確認できた。 「おう、遅くなって悪かったな。今日学校あるの知らんくて。」 「うわ、マジかよ、よく間に合ったな。」 「ね、ねぇ、ちょっと。」 俺らがそんな会話を繰り広げていると、その合間を縫って京香が話に入ってきた。 「この雰囲気何なの?怖いんだけど。」 「あぁ、これか?これはだな…。」 琉生が口を開こうとすると、 「あっチャイムだ。それじゃあ俺はもう自分の席戻るよ。」 「この雰囲気に関しては先生から何かあると思うから。」 そうして琉生は自分の席に戻っていく。 「俺らも席戻ろうぜ、京香。」 俺が京香にそう言葉をかけると京香は、 「うん…。」 と、不安を隠しきれない表情でそう相槌を返した。
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