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結構飲んだせいで部屋に戻る頃には足元が僅かにふらついた。
部屋に入ってから水を飲み、営業課の課長と筋肉について語らっているうちに少し酔いは覚めた。
営業課長は就寝すると言うが、俺はまだ眠気はなかったのでその辺をプラプラすると言って部屋を出ていった。
廊下を歩きながら、考えていたのは幽子だった。
前回の満月はまるで恋人のように過ごしていたことを思い出すとムラムラしてきて、今すぐここで腕立て伏せをして煩悩を鎮めたくなる。
幽子、今頃どこで何してんだろなぁ~。
背筋を伸ばそうと顔を上げると、目の前に幽子がいた。それも、旅館の浴衣を着た幽子だった。
見間違いか幻想か。
「幽子...?」
俺を見て慌てた様子に確信する。これは、本物だ。
「...なんでここにいるんだよ」
『えっ、えとっ、あの、実は、えーっと。わ、私も温泉旅行に行きたくなって!』
「...温泉旅行?」
社員旅行が温泉だってこと、言ったっけな...?
言ってないと思うが、言ったのかもしれない。
というか、別になんでもいい。
なんで彼女がここにいるかは重要じゃない。
会いたかった幽子に会えたなら、なんだっていい。
飛び立とうとした幽子を止め、部屋に誘った。
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