アネモネの花束と満月

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ーーーーー  満月の夜です。  今まで満月は楽しみでした。  ですが今夜の満月は、全く楽しみではありませんでした。  私は今、白襦袢を着てベッドの上に仰向けになっています。  胸の上には両手で掴んだ花束。課長に頂いたアネモネの花束です。  綺麗にドライフラワーにしたかったのですが、やり方がわからずただ普通に枯れた感じになってしまってますがしょうがないです。  どうしていつものパジャマではないのかと申しますと、これは私なりの覚悟を表しているのです。  気分は、これから切腹する武士です。  今夜、私は課長の前に跪き、洗いざらい全て白状し謝罪します。課長が所望するなら、どんな処罰も受ける覚悟があります。  そして私は静かに瞼を閉じました。  暫くすると目が開きます。  見下ろした本体の自分が本物の死人に見えて一瞬ビビりましたが、無事に幽体離脱できました。  霊体になってもちゃんと片手に枯れた花束も持っています。  それをぐっと握り締め、夜空に飛び立ちました。
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