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先にえっちゃんに会いに行きました。
これから課長に謝罪しに行く前に誰かに活を入れてほしかったのです。
えっちゃんは穏やかな笑顔で企画課の出入り口にいました。
『すみれちゃーん。待ってたわよ~っ。...ってどうしたのその格好は』
目を丸めたえっちゃんに、私は今日の覚悟を話して聞かせました。
『そっか~。全部話すことにしたのね~』
『...はい。とても緊張してどうにかなっちゃいそうですけど、もう逃げてはいけないと思って...』
『ここは潔く謝った方がいいよね~、きっと。あたしもついていってあげたいけど、ここから離れる方法がわからなくて...。ごめんね』
『いえっ。えっちゃんに話を聞いてもらえてそれだけでもすごく励みになるんですよ。えっちゃんという心強い友達がいてくれてどれほどありがたいか』
えっちゃんは急に今にも泣き出しそうに微笑みました。
『すみれちゃんと同じ時を生きてたら、あたしは自分を殺さないで生きていけた気がするわ...』
『えっちゃん...』
込み上がるものがあって、私とえっちゃんは抱擁して泣きました。
『もし課長に辛いこと言われたらあたしが話を聞いてあげるからね』
『はいっ』
『頑張ってね、すみれちゃん』
『はいっ』
最後にぎゅっと抱きしめ直してから、私は会社を後にしました。
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