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「...入るか?」
『入っても...いいですか?』
「ああ」
初めて課長の了承を得てから部屋に入りました。
いつもは無断侵入してたんですから、いかに重い罪を犯したのか、嫌でも自覚してしまいます。
リビングのソファーへ歩く課長の後ろをついていきます。
ゆっくりと腰を降ろした課長は、正面で浮いたままの私へ「座らないのか」と訊いてきました。
『座りません...』
「そうか...。ていうか、どうしたんだその格好。...それにその花」
課長はやっと私が持っている枯れた花束に気づきました。
これを持っていけば、幽子が山瀬すみれであると認めることになると知って持ってきたんです。
「...やっぱ山瀬だったんだな...っておい、なにやってんだよ!?」
私が急に土下座をしたのですから課長が驚くのも無理はありません。
『本当に申し訳ございませんでしたっ』
「やめろって。土下座なんかしてほしいわけじゃないっ!立てって、幽子っ!」
慌てた様子で私のそばに来て、体を起こそうとしていますが、課長の腕は私の体を通り抜けるだけです。
『全部お話ししますから。聞いていただけないでしょうか』
「聞くから。けど頭は上げてくれ。座って話そう、いつもみたいに」
『いえっ!このままでお話しさせてください』
本当は課長の顔が見れないから、床だけを見つめたいだけです。
いつものように肩を並べて罪を懺悔するなんて、私にはとてもじゃないけどできないのです。
暫く押し問答していましたが、課長は観念したように長い息を吐きました。
「わかった。...聞くよ」
『...ありがとうございます』
そうして私は、罪の告白を始めました。
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