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「山瀬。起きてくれ、今すぐ」
今度は両肩に手を起き揺すります。
最初は極僅かだった揺れが、次第に強まります。
それでも本体は無反応です。
霊体の方は自分を触る課長を凝視しているせいで身体が熱く、変な呻き声まで出しそうになっているのに。
「起きる気配ないんだけど。本当に生きてるんだよな?」
『い、生きてますよ』
「...ふーん」
課長は急に霊体の私を見つめてきました。
電気のついていない部屋で、その両眼だけが猫のように光ってるような気がします。
『どうしましたか...?』訊くと、課長は唐突に立ち上がり、流れるような動きでベッドに乗り上がり、そして本体の私の上に股がりました。
突然の行動に瞠目していると、課長が首をひねって私へ振り返ります。
「幽子。今すぐ起きないと、何するかわかんないぞ」
『えっ!』
そして課長は本体の私の両手首を掴み取り、顔の横に移動させ、そのままベッドに沈めるように押さえ込みました。
ま、まるで組み引いていますっ!ていうか組み引いています!
『な、な、なにを、なにをしてるんですか』
「起きないんなら襲う」
『襲うっ!?そんなっ』
「いいの?」
『えっ!えっと、い、いいですけど...』
「......」
課長は半眼でこちらを見てきました。
思わず正直に言ってしまった私を見ながら、変態かよと思っているのかもしれません。
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