971人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「んっ、...はあっ!はあっ、はあっ」
課長が唇を離すと、また失った酸素を取り戻そうと呼吸が乱れます。
先程も苦しかったですが、この苦しさは心地が良いです。
課長も僅かに息が上がっています。
視界がボヤけるので腕を伸ばして眼鏡を掴み取り、かけました。
途端に見えたのは色っぽい課長です。なんて色気でしょうか。色気を極めた仙人のようです。
魅了されて見つめてしまうと、課長は得意顔を向けてきました。
「まあ、でもあれだな。許せってことでもないよな」
「え?」
「だって、勝手に家に入る程俺のこと好きなんだろ?」
カアァッ、と熱が上がりました。
正論です。今のキスはご褒美です。甘味です。もっと欲しいです。
完全に課長の勝ちです。
もう手玉に取られてコロコロと転がされています。
でもそれが嬉しくてしょうがないです。
完敗です。
「その通りなんです...。私、市川課長が大好きすぎてしょうがない人なんです...」
「本当にしょうがないやつだな」
「はい...」
「俺も。幽霊でもいいって思うほど、山瀬を好きになったから同じだよ」
「...課長っ」
感動で神経が震えます。
思わず抱きついてしまいましたが、Uターンして戻るパターンではありません。
ああっ。課長を抱きしめるのってこんなに温かくて幸せなことだったんですね!
そして、私を抱きしめ返す課長の腕も、私を通り抜けません。
至福ですっ!!
最初のコメントを投稿しよう!