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えっちゃん
ーーー今日昼一緒に食べるか?ーーー
お昼休憩の三十分前に謙一郎さんからメッセージが届きました。
すぐに、食べます、と返事を送り、ハートを口から出す幽霊のスタンプも続けて送りました。
ーーーじゃあ、あとで食堂でーーー
それには幽霊が親指を突き上げているスタンプを返事の代わりにしました。
そしてスマホを引き出しの中にしまうと、隣で高速タイピングをしている斎藤さんに声をかけます。
「斎藤さん。今日は課長と食べます」
「そうですか」
「なので西野さん達にもよろしくお伝えください」
「承知しました」
実はあれから、私と斎藤さんは時々お昼をご一緒にしています。
しかし決して二人きりではありません。経理課の西野さんに森脇さん、それからその他にも複数名女子社員が同席しています。
勿論、皆さん、私と食べたいのではなく、斎藤さんと食べたいのです。私はおまけのようなものです。
それでも、仲間外れにされることはありませんし、私とも話してくれます。
経理課の女子社員は苦手でしたが、話してみると意外に悪くなく、むしろ楽しい一時を過ごしています。
社員旅行時に私の寝顔を絞殺された死体だと言っていたことは今でも根に持っていますが。
兎に角、忙しい謙一郎さんとはお昼ご飯を一緒に食べれる機会が少ないので、そういう時は斎藤さん達とご一緒にさせていただいているのです。
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