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「すみれ...?」
顔を覗かれて、背筋をピシッと伸ばしました。
『は、はい!結婚しますっ!』
声を張ってプロポーズの返事をすると、謙一郎さんは呆然としたように目を瞬かせましたが、そのうち吹き出しました。
「はははっ。そうか、それはよかった」
『それは私の台詞です。結婚できるなんて夢のようです』
すると私の透けた身体を謙一郎さんの太く逞しい腕が包み込みます。
通り抜けないように力の加減を調節していらっしゃるのが、大切にされているような気持ちにさせられて口元が緩んでしまいます。
「すみれ」
『はい』
「今から家に行ってもいいか?」
『え?』
「本体に戻ってほしい。そしたら悪いけど眠らせないよ」
『そ、それは』
「明日は土曜だし好きなだけ寝かせてやるから」
『そ、そんなの...』
『いいに決まってるじゃないですかーっ!』叫びながら抱きしめたら、勢い余って身体を通り抜け、Uターンして戻る定番のパターンになりました。
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満月の夜、貴方の元へ
【完結】
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