泣き骸

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泣き骸

皆んな揃いて死に向かう中、稀に死なずの 半生者が生まれり。今回はそんな生に 執着が過ぎてしまった元人間の話。 二〇一四年、大犯罪者が地獄の底に到達した。 名は穎覽(えいらん)と言うものであり、 六〇〇年の時を経てやつと今無限地獄に来たのだ。 然かして穎覽は地獄をゆつくりと味わう暇は あらず、六〇〇年の間に考えた戦略を 瞬くに思い出していかねばならなかった。 …準備が整ったようだ、穎覽が動く。 近くの亡者仲間に閻魔様への道を尋ねたが、 苦しんでいるばかりで何も教えちゃくれぬ。 と、困っているところに丁度鬼が現れた。 たくさんの所持の中から僅かの金を見せると、 地獄の叫び泣を聞いてきた鬼の目が 見る見る輝きを取り戻して面白い。 すぐに僅かの金を鬼は受け取り、 あろうことか閻魔様に会うまでの 道のりまで教えてくれた。 勿論、道は短くなかった。
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