第三章[夕輝]

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彼が降りるのが分かり、私は走り出した。 「おい!待てって!風邪ひくだろ!」 すぐに彼に抱きしめられて、私達は雨の中その場に立ち尽くしていた。 「嫌いでも…いいから、もう黙ってるから…送らせろ。風邪ひくだろ!」 彼は必死に私の手をつかみ、何度も抱きしめてくれていた。 「このまま放して…見送ればいいから、傘持ってる。ほんとよ。」 「けど、」 「けどでもなんでもいいじゃない!」 私は両手で彼を突き飛ばしたが、その手をつかまれてしまった。 「泣いてるみたいで嫌だって…言ってたろ!」 なんで!なんで覚えているのよ! 「言った、言ったけど…。」 言ってしまおう!か?
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