第四章[林檎]

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「夕輝さん!風邪ひいちゃう、着替えてきてくださいね… 私は温めてもらってるんで。」 「はい。」 六階建てのマンションの三階に住んでいた。 すぐに玄関に駆け込むなり、濡れた服を全部ぬぎ バスルームにいくと洗濯機に放り込んだ。 真っ裸で部屋を駆けずり回り、 散乱しているものを片付けながらフード付きの黒いトレーナに身を通した。 自分の服を着ながら… 彼女の背丈を思い出し、無地でグレーのトレーナと三本ラインの入ったスエットをもって駐車場へ急いだ。 「お待たせしてすみません。」 車に乗り込むと、彼女は腕をさすっていた。 「寒いですか?」 「え?あ、いえ。」 彼女は、すぐにやめて何もなかったように微笑んでくれていた。 「うーん、降りて…はい、これいいですか?」 「え?はい。」 彼女を車から降りてもらうと、 彼女に着てもらおうと持っていた服を持たせた。 「こっちです。」 「はい。」 今、思うと… 数日前まで中学生だった彼女が、どうして俺に着いて来たのか? 聞いてみたい気持ちはあったが、 あの日…あの時そんなことはみじんも思ってなかった。 落ち着きがあって、それでいて彼女は。
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