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「夕輝さん!風邪ひいちゃう、着替えてきてくださいね…
私は温めてもらってるんで。」
「はい。」
六階建てのマンションの三階に住んでいた。
すぐに玄関に駆け込むなり、濡れた服を全部ぬぎ
バスルームにいくと洗濯機に放り込んだ。
真っ裸で部屋を駆けずり回り、
散乱しているものを片付けながらフード付きの黒いトレーナに身を通した。
自分の服を着ながら…
彼女の背丈を思い出し、無地でグレーのトレーナと三本ラインの入ったスエットをもって駐車場へ急いだ。
「お待たせしてすみません。」
車に乗り込むと、彼女は腕をさすっていた。
「寒いですか?」
「え?あ、いえ。」
彼女は、すぐにやめて何もなかったように微笑んでくれていた。
「うーん、降りて…はい、これいいですか?」
「え?はい。」
彼女を車から降りてもらうと、
彼女に着てもらおうと持っていた服を持たせた。
「こっちです。」
「はい。」
今、思うと…
数日前まで中学生だった彼女が、どうして俺に着いて来たのか?
聞いてみたい気持ちはあったが、
あの日…あの時そんなことはみじんも思ってなかった。
落ち着きがあって、それでいて彼女は。
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