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「あ!ちょっとだけ、ここで待っててもらえます?」
玄関まで彼女を連れてきた俺はすぐに家に入ると、
さっき放り込んだ洗濯機を止めると服を取り出し、
クリーニングにもっていく時に使うビニール製のカバンをつかむと
その中に放り込んだ。
洗濯機の中をからにして…家中を眺めたが最悪だったが仕方ない。
そう大きく落胆したあと、
玄関の扉の向こうに待たせていた彼女を招き入れた。
「これ、家の鍵です。」
車の鍵だけ外し、彼女の手にのせると脱ぎ捨てていた靴をまた履きだした。
「あー見てのとおり掃除してませんので…そのスリッパは綺麗なんではいてください。」
「え?あー。」
「で、俺は下の車にいますので…お風呂入っていただいて、洗濯機も乾燥機も使ってください。」
「あ、夕輝さんの服は?」
「あーこれですか?俺のは、駐車場の前にあったコインランドリーで…ですから時間気にせず、俺出たら鍵締めて終わったら帰り家まで、あ…近くまで送りますので降りてきてください。」
「あ…でも。」
「風邪ひいてほしくなくて、俺…出たらここ締めて。」
彼女の返事を聞かないまま、俺は玄関を出た。
なかなか鍵が閉まる音は聞こえなかったが、
俺に気を使って閉めないのかと思いその場を離れた。
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