第四章[林檎]

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「あ!ちょっとだけ、ここで待っててもらえます?」 玄関まで彼女を連れてきた俺はすぐに家に入ると、 さっき放り込んだ洗濯機を止めると服を取り出し、 クリーニングにもっていく時に使うビニール製のカバンをつかむと その中に放り込んだ。 洗濯機の中をからにして…家中を眺めたが最悪だったが仕方ない。 そう大きく落胆したあと、 玄関の扉の向こうに待たせていた彼女を招き入れた。 「これ、家の鍵です。」 車の鍵だけ外し、彼女の手にのせると脱ぎ捨てていた靴をまた履きだした。 「あー見てのとおり掃除してませんので…そのスリッパは綺麗なんではいてください。」 「え?あー。」 「で、俺は下の車にいますので…お風呂入っていただいて、洗濯機も乾燥機も使ってください。」 「あ、夕輝さんの服は?」 「あーこれですか?俺のは、駐車場の前にあったコインランドリーで…ですから時間気にせず、俺出たら鍵締めて終わったら帰り家まで、あ…近くまで送りますので降りてきてください。」 「あ…でも。」 「風邪ひいてほしくなくて、俺…出たらここ締めて。」 彼女の返事を聞かないまま、俺は玄関を出た。 なかなか鍵が閉まる音は聞こえなかったが、 俺に気を使って閉めないのかと思いその場を離れた。
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