第五章[大人]

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何の本を読んでいるのか気になって、 覗き込むと、本は…。 「夕輝さん?本…さかさまですよ?」 「え?あ…。」 彼は私に驚き、椅子から転げ落ちそうになったがなんとか転ばずに済んでほっとしていた。 「大丈夫ですか?すみません、お待たせしちゃいましたよね…あ、鍵です。」 彼女は、俺が車から初めて彼女を見たあの瞬間の笑顔で俺の手に鍵を返してくれた。 「え?あ、ああ…早かったけど?ちゃんと温まった?」 「はい、ありがとうございました。」 あの瞬間、立ち尽くす彼女に気を取られて、思いっきり水たまりに入り… 彼女にかけてしまったというありさまだった。 わざと?だったのか? 彼女と話したい?がために? ずぶ濡れにしてしまったけど、運命だ! と思った俺は、あの瞬間すぐに車を止め彼女に駆け寄っていた。
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