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「誰かなんて…いません。夕輝さんは?お仕事の帰りだったんですか?」
「俺は…あーはい。」
緊張で、体調を崩したことをすっかり忘れていた。
そんなかっこ悪くてそのことは、口にせずにいた。
彼女をこのまま帰したくない!
…だからこそ、俺は冷静になろうと思った。
「ごはん…明日にしませんか?今日と同じ時間に会いましょう。どうですか?」
「はい。」
彼女も俺と同じ気持ちでいてくれたのか、迷う事なくはいと返事してくれた。
「お借りした服、洗濯機に入れてるんで…後で見てくださいね。終わってから降りてこようかと思ったんですが、待たせるの申し訳なくて。」
「ありがとう。」
嗅ぎはしないが、俺のこと知らないから…気持ち悪いですよね、
なんてのも口にしないでおいた。
ようやく…冷静に彼女との時間を過ごせていた。
車に乗り込み、彼女を見つめた。
「雨、上がりましたね。」
「私…雨、嫌いなんです。」
「そうなんですか?」
「なんだか、泣いてるみたいで悲しくなります。」
「そうですね、けど…乾いた大地は潤います、綺麗だと思いませんか?時々、やりません?雨が降ると乾いた心を洗い流したくなって…傘を持ってるのにしまうとか?なんて…やらないですね。」
「乾いた大地?確かに!潤いますね!」
そんなたわいもない話をしていると、彼女の家の前について…彼女は車を降りて明日の約束の時間と場所を確認して俺たちは別れた。
そして翌日、俺たちは現実を…突きつけられる。
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