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「後で、何とでも怒ってくれてかまわないから…フッ。」
笑顔でそう言われ、気がつくと私は夕輝先生の車の助手席に押し込まれていた。
「あ…くぅ。」
―あ、もう。あの笑顔マジに魔力だ。
「ふっ、」
運転席に乗り込んだ夕輝先生の顔は、まさに勝ち誇った顔で私を見つめていた。
「強引に悪かったな…。」
なんで?
なんで…そんなに私にかまうの?
「私!」
「おい?降りるとか言うなよ?」
ガチャッ!
先生は慌てて鍵をかけていた。
「…。」
不快な表情で先生を見つめると、また…先生は嬉しそうに笑顔になっていた。
ポツッ…。
フロントガラスに雨の雫が、一滴落ちたかと思うと…。
ザァーーーーーーーーーー。
「あ。」
「ふう、夕立きそうだったから…濡れなくて良かった。な?」
「な?って…。」
私が、雨が嫌いだった事を…この人は知っていた。
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