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「だって今言ったじゃん。誰も助けてくれなかったって。でも今回は違うかもしれない。そうでしょ?」
「そうかなあ。ぼくは何も変わらないと思うな」
「わたしがいる。わたしがハルちゃんの味方だから。先生にだって高木にだって、わたしは負けない」
「……たしかに心強いかも」
よいしょと地面に腰をおろしながらハルちゃんは言った。ズボンが汚れることも気にせずに、何かを探しているようだ。
「ハルちゃん、さっきから何してるの?」
「ん? ちょっとね……」
雑草の群れに両手を突っこみ、ごそごそと動かしている。手がかゆくならないのだろうか。
わたしもハルちゃんと同じ目線になるようにしゃがんでみるが、どう頑張ってもスカートが地面についてしまう。しょうがなくわたしは中腰のままハルちゃんの動向を見守った。
「ああ、そうだ、マミちゃん。ぼく、マミちゃんの言うとおりにしてみるよ」
「わたしの?」
「高木たちから何をされたのかを、先生に伝えるんだ」
「本当に? 大丈夫なの?」
「そりゃあ怖いよ。怖いけど、このままじゃマミちゃんが大変でしょ? それに直接先生に話すんじゃなくて書いて伝えようと思う。学習日記なら先生しか読まないでしょう?」
わたしは答えに困った。なぜならハルちゃんが先生しか読まないであろうと信じている学習日記を、つい数十分前に見せられたのだから。
「それにぼく先生のこと大好きだから。先生なら頼ってもいいかなって。ぼくみたいなのが先生を好きだっていうのおかしいかな?」
「ぜんぜんそんなことないよ。先生みんなから人気あるし」
「違うよ、マミちゃん。そういう好きじゃなくて……」
「え、マジなの」
「……うん」
「まあ……いいんじゃない? 先生独身だし、ハルちゃんが誰を好きになろうと自由だからね」
「ありがとう、マミちゃん」
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