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テレビのニュースと現実がリンクする様を、わたしは初めてこの目で見た。
たくさんの報道陣に囲まれた幼馴染の家。野次馬の怒号。近隣住民の冷ややかな目。緊迫した雰囲気が周囲を包みこむ。
「おい、出てきたぞ。カメラを構えろ!」
わたしは自宅のベランダから彼の自宅を眺める。自室のテレビと寸分たがわぬ描写。黒いフードを目深にかぶり、黒いマスクを着け、捜査員に両脇をかためられた彼は、うつむいたまま警察車両に乗りこむ。
車が発進後もフラッシュが絶えず焚かれ、閑散とした住宅街が非日常的に騒がしくなる。
『ただいま速報が入りました』
ニュースを読み上げるアナウンサーの声に緊張が走る。わたしはベランダから自室に戻り、ソファーに腰をおろす。
これから読み上げられる事実を、わたしはすべて彼から聞いて知っている。幼馴染というしがらみから逃れられなかったのだ。
彼はわたしを頼った。わたしにすべてを打ち明けた。警察に通報したのはわたしだ。彼の了承を得た上でわたしは通報したのだ。
『速報です。本日十一月三十日、午後六時二十四分。A県O市夜凪町で起こった連続殺人事件の容疑者・向井山千晴(むかいやま ちはる)が逮捕されました。逮捕時、向井山容疑者は黙秘を続けておりましたが、捜査員に向かって一言「あとひとり殺す必要があった」と告げたようです。向井山容疑者はー-』
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