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ハルちゃんへのいじめが始まったのは中学一年生の新学期早々に起きた、ある出来事がきっかけだった。
夜凪中学校はO市の中でも小さな中学校で、生徒数は全学年で二百人ほどである。近隣の四つの小学校の児童の進学先であるため、単純計算で四分の三は知らない生徒になる。
そのためハルちゃんとわたしのクラス一年一組では、入学式の次の日に自己紹介の時間が設けられた。
ハルちゃんは二十八人の生徒の前でその言葉を口にした。
「みなさんこんにちは。ぼくのことはハルちゃんと呼んでください。年齢は十二歳。ぼくは歴史をぬりかえる大量殺人鬼になります。一年間よろしくお願いします」
ハルちゃんは高らかに宣言すると、満足げな顔を見せて着席した。
わたしはハルちゃんの近くの席だったから、ハルちゃんの発言に対してのクラスメイトの囁きが嫌でも耳に入る。
だが、誰もハルちゃんの言葉を本気にしなかった。
二〇〇五年、四月六日。
夜凪中学校を中心とした連続殺人事件の始まりの日だった。
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