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「ハルちゃんがどうして先生に相談もせずに、いじめに耐えているんだと思いますか? おおごとにしたくないんですよ。先生や学校側とは違う理由でしょうけど。このまま放置していたら高木たちはエスカレートしていきますよ。女子同士のいじめよりも、男子からのいじめのほうが直接的なものになると、わたしは思います。これは子供のわたしよりも先生のほうがよくわかるんじゃないですか?」
「……斉藤の言うことが正しい。だがな、肝心の本人からのSOSがなければ先生たちは動けないんだ」
「最低ですね。それとなく高木たちに注意できないんですか?」
「学校側としては起こっていない事実に対応はできない」
「本っ当、クズだ」
入学して半月も経たないのに、わたしはこの中学校に見切りをつけていた。
でもなによりも自分自身でわかりきっている事柄がある。
「なあ、斉藤。君から高木たちに、いじめをやめるように言えないかい? もしくはあの子にいじめられていると先生に報告するように伝えてくれないかい?」
そうだ。先生の言うとおり、わたしからハルちゃんに伝えるのが一番なのだ。高木たちにいじめられているなら、先生に相談しなさいと。
なぜ、わたしがこの選択肢を避けるのか。自分に火の粉が降りかかるのが嫌だからである。
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