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「でもこのような事、殿下にはお伝えできないでしょ?」 私の問いに、男性2人は小さく頷く。 「それは、そうですね。」 そんな事をしたら2人の関係が悪くなる可能性もあるのだ。余計な事はできない。 「でも、婚姻の儀の日には、、、」 言葉に詰まる。 それぞれが何を指すのか理解した。 初夜の儀があるのだ。 「今、できる事は」 「少し殿下を冷静にさせて、妃殿下にペースを合わさせることだな」 3人で顔を見合わせうなずく。 「私はとりあえず妃殿下の殿下への評価を上げるように努力するわ。 彼女も当初の予想と殿下の雰囲気が違って混乱している所も多いからそこを上手く使うしか、、、」 私がそう言うと、2人は心得たとうなずく。 「とにかく我々でそのバランスを上手く調整するしか無いな。妃殿下はアーシャに任せるしかないが、何か有れば、いつでもいいから今日みたいにすぐ呼ぶんだ!」 ブラッドの言葉に私はゆっくりうなずく。 「分かったわ。」 「とりあえず我々はこの話を事務官のエドガーにも共有していいかな?」 立ち上がったヴィンに聞かれて、それにも私は大きくうなずく。 エドガーは殿下と一番付き合いが長く、一番意見が言える人物だと言う。 「よし、そうと決まれば、あいつを叩き起こそう!」 「いや、まださっき執務室にいたぞ?」 2人が連れ立って出て行くのを見送りに、戸口へ向かう。 出て行く寸前に、こちらを振り返ったブラッドが私も見下ろして、ポンと頭に手を置いた。 「あまり無理するなよ。何か有れば遠慮なく言え」 懐かしいその感触に、ドキンと胸が鳴る。 「うん、ありがとう。」 肩を竦めて見せると、彼がふっと口元を緩めた。 なんて、なんて甘い笑みなのだろう。 「おやすみ」 ぽかんとしている私をよそに、一言それだけ残して彼は背を向けた。 扉を閉めると、しばらく胸の高鳴りを落ち着けるのに苦労した。 あんな甘やかな彼の顔をわたしは知らない。 いやもっと若くて少年の頃、たまに私にだけ向けてくれたあの照れたような微笑みが、、、 時が経って、破壊力抜群な甘やかな物に成長したのだ。 慌ててブンブンと首を振る。 いやいや、そんな事を考えている場合ではないのだと。 パチパチと顔を叩いて、思考を現実に戻す。 もう終わった相手のことより、今の事だ! はぁっと息を吐いて、ソファに体重を預ける。 当初の予定では、私の仕事は異国からの妃殿下の生活の手伝いと、ご機嫌取りの予定だったはずなのに。 厄介なことに巻き込まれた、、、。 上手く間を取り持たねばこの国の命運を左右しかねない。 つまり責任重大な訳で、、、。 その上ここを追い出されるわけにもいかないのだ。
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