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「アーシャ!こんな時間に護衛も連れずに、、しかも、妃殿下の馬車でどうしたんだ!?」
自邸の車止めに馬車を止めてもらい、エントランスホールに入れば、すぐに状況を知ったブラッドが出てきた。
彼は今日は非番で、どうやら庭で剣の訓練をしていたらしい。
動きやすいラフなパンツに、シャツはこの真冬に汗に濡れていた。
「王太后宮に向かっていたのだけど、靴の飾りがなくなってしまって、このままじゃあ失礼だから替えに来たの!」
そういいながら、私は自室に走る。
なぜか彼も一緒に着いてきたので、向かう途中で経緯を説明する。
「なるほど、ならば俺が王太后宮まで護衛するよ!仮にも王族の馬車だ、王族と間違われてキミが襲われたら。」
靴を履き替え、エントランスに降りるところで彼がそんな事を言いだしたので、私は笑って、そして彼に短く口付ける。
「そんな格好で馬に乗ったら風邪をひくわ!それに王太后宮にその軽装で入るのは流石にまずいと思うの。」
「だが!」
「大丈夫。王太后宮はすぐそこですもの!ここまでも何もなかったのだから問題ないわ。それよりも早く着替えて、汗も冷えてしまったでしょ?風邪を引くわ」
なおも言いつのろうとする彼を押しとどめて、一気に階段を駆け下りると、車止めまで走って、扉を開かれた馬車に乗りこむ。
馬車の扉が閉められる寸前、車止めに出てきた彼ににこりと笑って手を振った。
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