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ONE
テリーは目覚めた時、自分の体が全て健康であることに驚いた。あれだけの大事故を経験して無傷なんて到底ありえない、そこで彼女は自分が死んでしまったことに気づいたのだった。
テレンスは三姉妹の末っ子。
小柄で金髪碧眼でスタイル抜群、悪い男なら1度はお相手したく望む美しい容姿に育ったが両親にベタベタに甘やかされ育ち刺激を求めて悪行に走り先月の三面を飾った車の大事故で18という若さで亡くなってしまった。
そこで彼女は自分が楽園の天国でも灼熱の地獄でもない空間にいることに違和感を感じる。なんたってそこは小学校の教室の一室のような場所で、小学校の青春を過ごした机と全く同じだったのだ。しかし色々おかしい。
まず自分が小学生じゃないこと、そしてクラスメイトが神父様風、サラリーマン風、主婦風と年齢も見た目も統一感がない。教卓に座っているのは中学生の頃最も憧れた近所のシスターに似た容姿をしている。同一人物?でもありえない、彼女は当時の美しさをそのまま維持してるのだ。
教室は祈る声や過呼吸になる者、それぞれの静かなるパニックで混沌を産み出していた。
それを制したのはやはり教卓のシスターだ。
彼女はそれはそれは美しいピアノの音色のような弾む歌う声でのびのびと話始めた。
「それでは天国地獄選抜会を行います。皆さんよろしくお願いします。まずは一番近い席のハンナ、おめでとうあなたは天国行きです。」
「ああ…ああ、ありがとうございます…!」
母親の名前と似た女性が顔全体を涙に濡らし、声を震わせ机に額を擦り付けるようにしてお礼を述べていた。それを見つめるシスターも柔らかな笑顔で満ちていた。
「あなたの生涯を振り返りましょう。厳しい父に優しい母を持ち賢く育ち…」
シスターがテリーたちにも聞こえるように話すのでテリーはハンナが「困ったお年寄りを助けるタイプ」と「二人の息子を守り庇い命を落とした模範的母親」ということを知る。
なるほど天国行きも納得だ。
しかしそうなるとテリーの整った鼻筋に暗い影が宿る。
心非ずのうちにハンナは扉からやって来た天使に導かれ、天国へ招かれた。
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