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“ピンポーン”
「来たっ!!」
十一月最後の土曜日の、昼の十二時過ぎ。そわそわと落ち着かない賢一と賢二のもとに、大学入試の結果通知書が届いた。配達員から封筒を受け取ると、二人とも賢一の部屋に走っていった。
二人は、学部は違うが推薦で同じ大学を受けた。十月の終わりに必要書類を提出し、十一月初めに行われた吹奏楽部の引退公演の約二週間後に大学の面接を受けた。その結果が今受け取った封筒の中にある。
部屋に入ると、賢一は椅子に座り、賢二はベッドに上がった。そして声を揃えてせーの!と言うと封筒を開け、中に入っているものを取り出した。
結果の書かれた白い紙を見、互いを見る。賢二が小さく笑っているのを見て、賢一が訊いた。
「……合格?」
「……合格。賢一は?」
「……………合格っ!」
「よっしゃ―――っ!!」
二人は大きな声でそう言うとパンッ!とハイタッチした。そして担任の村上と父の賢太郎に電話で報告するとほっとし、とても喜んだ。…晩秋に、一足早く春の花が咲いた。
「は――っ、安心したら腹減ってきた!昼メシ食おうぜ!」
「その前に他の書類に目を…」
「あーそんなのあとあと!メシ食いたい!…」
“グゥゥッ!”
「あっ…(赤面)そうだな。先にごはん食べちゃおうか」
「YES!メシメシ――ッ!」
部屋を出て台所に行くと、賢一はコンロの火をつけて昨日の残りのクリームシチューを温め、賢二は食器スプーン、箸を用意した後、冷蔵庫を開けて作り置きのおかずを幾つか出した。
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