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卒業生の一人が雅紀の肩に手を回し、旦那が卒業して寂しいか~♪とニヤニヤ笑って言い、他の皆もヒュ
ーヒュー言って冷やかした。雅紀は赤くなってはァ?べっ、別に寂しくなんかねぇ!と言った。このことがきっかけで恋愛の話が始まった。
賢二が、答辞の途中で固まっている里見に「頑張って、睲!!」とよもぎが叫んだことを話題にあげた。皆がそうだよ、あれどういうことだよ!と騒いだ。しかも睲って!と。里見とよもぎがえっ、と言ったが更に賢二は、二人が付き合っていることを暴露した。
皆、よもぎがずっと賢一を好きだったことを知っていたので、その事実に驚いた。一途に賢一を想い続けてきたよもぎを、里見がよく落とせたなと思った。賢二!と言い里見がキッとした目で賢二を見ると、賢二は小さく笑って舌を出した。
別の卒業生が、思い切ってお前彼女いないのかよと賢一に訊いた。お!と皆賢一に注目する。二人は小さくあ、という顔をした。賢一は頭を掻いて苦笑いしながらいねぇよと答えた。みんなだっていないだろ?と訊く賢一に、卒業生達は少し引きつったような笑みを見せた。
全員、彼氏、彼女がいた。
「えーっ、マジで!?…あ、でも翔太はいないだろ?まだ一年だし…」
「えっ、あー…実は俺、…えりかと付き合ってるんです」
「え――っ!?」
これには皆驚いた。コンクール直前に賢一にケガをさせ、退部しようとして翔太に叱られてから翔太のことが気になり始めたえりかが告白して付き合うことになったのだ。…なんてことは言えず、何を訊かれても翔太とえりかはただ照れ笑いをしていた。
段々焦りを感じてきた賢一は、雅紀を見ると、はっ、お前はさすがにいねぇよなぁ、そんな性格が悪けり
ゃあと言ったがその時、雅紀――っ!と言って一人の女子生徒が走ってきた。咲和だ。咲和は雅紀の隣に来ると、腕を組んでうふ♡と言った。
「ま、そういうことだ」
「え――――っ!!?」
皆が目を丸くして驚く。この二人に関しては仲が悪い印象しかなかったからだ。どのようにして付き合うことになったのか興味を持ったが、驚きのあまり皆口をあんぐりと開けたまま動けなかった。
特に驚いた賢一は、脳天を巨大ハンマーで殴られたようなショックを受けた。まさか俺の妹がよりによって雅紀なんかと付き合っているとは!と…賢一は涙目になりながら咲和に言った。
「咲和、兄ちゃんから一つアドバイスだ。もっと男を見る目を磨いた方がいい…」
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
賢一が咲和のことを「俺の妹」としていることに
ついては『3』スター特典『こういうことだった
のかな。-引退式-』の4ページに書いています。
宜しければ(^^)
因みに賢二とよもぎは、雅紀の咲和への気持ちに
気づいていましたが、付き合っていることまでは
知りませんでした。
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