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さらに進めると分厚い壁が現れた。二人が壁の前で立ち止まる。
「この壁は一体、何でしょうか」
「これこそが奴の本体だ」
白石が口に手を当てて考えながら話した。
「もしかして、これを登ります?」
「正解だ。これから奴に登る」
隊長は準備運動をした後、大きく跳躍して、壁に飛び乗った。壁から落ちそうな所で、両腕に力を入れて集中する。足を左右に振って、反動をつけて壁をよじ登った。
白石はその光景を見て呆気に取られていた。壁の上から隊長が手を出して、登るように指示されたので、手を掴んで登った。
二人とも壁の上に登ると、先ほどまでの暑さは感じなかったが、異様な光景が眼前に広がっていた。隊長が前に進むので、白石も続く。
「ポテッ」
白石がその場に転んでしまい、派手な音がした。
隊長が白石の方を見る。
「何をやっている、こんな所で」
「すみません、白と黒の液体でぬめぬめしていて」
「言い訳はいい。さっさと立て」
白石は立ち上がって、服を払う。
「この白と黒の液体、なんですかね」
「あちらの世界では『マヨネーズ』と『ソース』と呼ばれている」
「なんだか天使と悪魔みたいですね」
隊長はすかさずメモをする。阻止しようとする白石の行動は今回も間に合わなかった。
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