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黒い板と違って、柔らかな地面の上を歩く。
「隊長、緑の物体があります」
「ああっ、あれは通称、緑さんだ」
その言い方に白石は違和感を覚えた。
「緑さん? もしかして、私達の世界にもあったものですか?」
「太古の昔はあったらしい。あれが見えるようになると、奴の中心部にかなり近づいている証拠だと、言い伝えられている」
「緑さんのこちらの世界での呼び名はあるのですか?」
「たしか、『あおのり』だ」
「禍々しい……」
隊長が書き始める前に、白石は高速でメモを掴んだ。
「隊長、もう書かないでください」
隊長はメモを白石にすんなり渡す。
「わかった。そのメモは好きにすればいい。だが、上官への反逆行為に該当する。メモには書かないがこれを上に報告……」
白石は隊長の口を手で塞いでから、メモを渡して謝る。
「先程の行為は上官に対して極めて無礼であり、申し訳なく思います。それと、咄嗟に口を手で塞いだことも重ねてお詫びします。なんでも好きに書いてください」
白石が手を離すと、隊長は渡されたメモに青海苔は禍々しいとさっそく書いた。
奴の中心部に辿り着いた。
「ここが中心部なのですね」
「ここを軸として円形になっているのがわかるだろう」
「確かに、丸くなっていますね。でも、ここまで来ましたけど、これからどうするのですか?」
隊長が歯を見せて笑う。
「それは、こうするんだ!」
隊長が急に白石に迫り抱き寄せた。白石は照れや恥ずかしさもあったが、何が起こったのかわからず動揺した。
突然、上から何かが降ってきた。光に包まれる眩さから二人とも目を閉じた。白い煙に辺りが覆われて、それがうっすら消えかけた所で、事態が急変したことに気づいた。
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