神のいかずち

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 今まで進んできた地面が、散々に切られていた。  最初、白石は切られた地面が悲しく思えたが、よく見ると、それぞれが小さな立方体になっているのがわかった。  首を傾げて考えたが、隊長と抱き合ったままだと気付いて、あわてて距離を置く。 「隊長、これは地面を何者かが立方体に切ったということですか?」  隊長を見ると、小刻みに震えていた。 「初めて見た。光が眩しくて見えなかったが、これが『神のいかずち』か」 「すごい名前がついていますね」 「あれだけの芸当ができるのは確かに神しかいない。伝記は真実を伝えていたことが証明された。これは偉大な発見だ」  隊長は感慨深く何度も頷いていて、白石は偉大な発見に自分も立ち会うことができて嬉しくなった。  隊長が冷静さを取り戻したように話す。 「さっき抱き寄せたのは、伝記の通りにすれば、神のいかずちが発生すると思ったからだ。二人が切られない程度にくっついていると発生して、二人とも助かるという仕組みらしい」  二人とも立方体に切られた地面を見る。 「それで、どうします?」 「決まっている。剣を使う」 「ここで使うのですね。持ってこいと書かれていたので、いつ使うのかと思っていたのですが。でも、剣を使っても人数が足りないような」  隊長がその言葉を待っていたとばかりに、口笛を吹くと、四方から仲間の兵士がたくさんやってきた。 「これで足りるだろ?」 「足りますね」  隊長の用意周到ぶりに白石は頭が下がる思いだった。
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