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「ねぇねぇ、かか。"ていと"ってどんなところ?」
「えぇ…また?」
私……藤堂陽が帝都から離れて、四年が経過した。私と夫……旋に抹殺命令が下され、帝都から逃げた。それから一年後、私が十九歳の時に妊娠が判明したのだ。そしてその年の冬……私が二十歳を間近に控えた日に娘が生まれた。
男社会に居た私が母親らしく……というと髪を伸ばしたり、口調を改めたりする所だけれど、やっぱり慣れなくて髪はずっと短いまま。服装は女性らしくなった。ずっと軍服を着る訳にはいかないし。
そして肝心の娘は、とても可愛い。臨月になる少し前から、旋と二人で沢山の名前を考えた。その内の一つが、『咲』という名前。
父親譲りの真っ白な髪、私と同じ黒目。咲が成長してから知った事だが、感情が高ぶると目が金色に染まるのだ。そこを見ると、『神権剥奪は無かった』と思ってしまう。でもやっぱり術は使えないようで、もう『鬼神』では無いらしい。
ちなみに、咲の目がどんな時に変化するかと言うと……。
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