カナちゃんとピアノ

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ある日、学校から帰ってきたカナちゃん。 片手に封筒を握りしめて、リビングに駆け込んできた。 震える手で封筒を開ける。 封筒の中の紙を広げて見たカナちゃんの顔色が、真っ青になった。 ぎゅっと唇を噛み締めて、その紙を机に置く。 紙には、『不合格』の3文字。 …カナちゃんは、音楽大学に落ちてしまった。 「もういいや…」 カナちゃんは、小さい小さい声でそう呟いて、自分の部屋に行ってしまった。 いつもは、帰ってきてすぐにぼくのところに来て弾き始めるのに。
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