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それから何日待っても、何年経ってもカナちゃんがぼくを触ることはなかった。
弾く人がいなくなったぼくは、だんだん物置になっていった。
本や鉛筆や、書類がぼくの上にのせられるたびに、
「おまえはもういらない」
って言われているような気がした。
いつしかぼくの上には、粉雪みたいにほこりが積もっていた。
ぼくの心も、一緒に凍りついていくみたいに冷たくなっていった。
もう、ぼくを弾く人は誰もいない。
ぼくは静かに目を閉じて、長い長い眠りについた。
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