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「アネーシャは私が商人から取り上げた子よ。今から4年ほど前かしらね。街で働かされている彼女を見かけて肌の色からこの国の人間じゃないのはすぐに分かった。商人に問いただしたら隣の国の村から買った子供だと白状したわ」  アレクシアは弟に呼び出されたことが若干不満げではあったが、アネーシャからも事情を聞いていたため彼女とその兄であるシエラのため素直にヴァシレフスに全てを話した。 「シエラが言うには他にも少女たちが村から盗られたと言っていた。商人はその少女たちについては何も言っていなかったのか?」 「ええ、何も──。というよりも何も知らないといった感じだったわ。商人自身が彼女を村から連れてきたわけではないようだった」 「首謀者は他にいるってことか……」 「見つけて捕らえるつもり? 珍しいこともあるものね、国の事なんかにあなた興味があったのね。それとも可愛いあの子のためかしら?」  姉の嫌味にヴァシレフスはチラリと一瞥しただけで言い返すことはなかった。 「父上には俺から進言する。アネーシャは村へ返す。他に村から売られた子供がいるなら探してその子供たちも村へ返す」 「好きにすればいいわ」とアレクシアは短く答えるとヴァシレフスの部屋を後にした。
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