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なんとなく部屋の外が騒々しくてシエラはそっと扉をあけて様子を窺う。
遠くでするのはカリトンの声、それと──
「ヴァシレフス?」
妹の話があの後どうなったのかずっと知りたかったけれど、ヴァシレフスはアレクシアと話した足のまま国王の元へ行くのだとカリトンに聞かされ、結局シエラの元には戻ってこなかった。
とうとう我慢出来なくてシエラはヴァシレフスの部屋へ向かった。
「ヴァシレフス!」
シエラの声にカリトンが眉根を寄せた。
カリトンに支えられるようにしてヴァシレフスが立っているのがわかった。
「どうか、したのか?」
「──なんでもない」
ヴァシレフスはシエラを見ることなく短く答えた。
「部屋に戻っていてください、シエラ。王子は今あなたとお話することはできません」
「どうして? アネーシャの事、どうなったのか教えてくれよ」
ヴァシレフスはどことなく顔色が悪かった。気になって傍に寄ると手を強く握られ、その手が朝とは別人みたいにあまりにも冷たくてシエラは眉を顰める。
「ヴァシレフス、具合が悪いのか……? 妹のこと、明日なら話してくれるか?」
「いいや。今話す」
「でも」と、引こうとするシエラを強く引き寄せヴァシレフスはカリトンの静止を無視して自室の扉を閉めた。
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