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#2暇つぶしに結婚でもしちゃう
真夜中のボクの部屋は、目眩がするほど甘美で蠱惑的な香りが漂っていた。ボクのすぐ真横に女子高校生が露わな姿で座っていた。
ボクの心臓はパンクしそうなほど胸を叩いている。
「ねえェ……?」
美少女の甘い吐息がボクの頬を撫でていく。
「ゴックン」
堪らずボクは生唾を飲み込んだ。緊張からだろう。さっきから咽喉がカラカラだ。
「フフ、暇つぶしに結婚でもしちゃおうか」
なんの前ぶれもなく美少女がボクに飛びついてきた。
「うッ、なんですッて?」
抱きつかれたボクは驚きのあまり呻き声を上げるばかりだ。
「フフ、どうしたのよ。ヴァージンボーイだからルナみたいな女子高校生と結婚できたら嬉しいんでしょ」
姫乃樹ルナは、ボクをからかうように笑顔を浮かべボクの敏感な部分へ手を伸ばしてきた。
「あッあァ、ちょっと」
潤んだ瞳で見つめられるだけでボクの全身は戦慄いてしまいそうだ。
こんな大胆な美少女は初めてだ。
可愛らしい顔をして小悪魔みたいに狡猾で妖艶に迫ってきた。初心で真面目なボクは、あっという間にトリコになってしまった。
美少女の柔らかな胸の膨らみがボクの胸板に押しつけられた。
「ううゥ」ボクは、かすかに呻くことしかできない。
少女特有のピーチみたいに甘い香りがボクの鼻孔をくすぐっていった。
ここはボクの部屋のベッドだ。BGMには何年か前に流行ったドラマの主題歌が流れている。
エアコンはフル稼働しているのに、身体じゅうから汗が滲んでいくようだ。
ボクとルナは二人並んでベッドに腰掛けていた。
いつも見慣れた光景のはずが、美少女が隣りにいるだけで異世界へ放り込まれた気分だ。鮮やかでパラダイスのように映った。
「いっやぁ、今、なんておっしゃいました?」
ボクの聞き間違いではないのか。どうにも信じられない。
少なくとも結婚は暇つぶしにするような類のモノではない。
「なによ。聞こえなかったの?」
「いえ、確か暇つぶしに結婚をするって。聞こえましたが」
「だから言ったでしょ。じゃァ、暇つぶしにエッチでもしちゃう?」
小悪魔は、さらに過激な事を言って猛然とボクに襲いかかってきた。
「なッ、なんですッてェ?」
ボクは驚きのあまりひっくり返ってしまった。
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