3 寒い恐い辛い

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3 寒い恐い辛い

『寒いんです。寒い。エアコン止めてください。寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い!!!!!』 「ガチギレじゃん……」  エアコンさんには、うちが原因じゃない事は伝わっていない。  それに、管理人の対応も届いていない。  あんなに丁寧だったエアコンさんが、紙面で暴走していしまって恐い。  それよりなにより、エアコンさんが、お隣さんでもないこの505号室をターゲットにしている事がそもそも恐い。  とりあえず、証拠になるので4通目もケースにしまった。  土曜日だったので、管理人室も不在だし大元の管理会社も休みだ。  面倒だけど、今以上に面倒になるまえに引っ越そうかな。  そう思って溜息を吐いた時。  ──バン! 「!?」  ドアが、叩かれた。 「……え?」  エアコンさん?  怒って、実力行使?  騒音でご近所トラブルになるって話はよくあるけど、エアコンだし、それでここまでするというのはもう、やっぱり度が過ぎている。    実際問題エアコンが誤作動してるなら、コンセントを抜くとかメーカーに問い合わせればいいのに、うちのせいだと思っているのだ。  これは理屈は通じない。たぶん正気じゃない。   「……上下?」  ワンチャン、それもあるか?  左右の部屋が「うちじゃない」って言って、じゃあ上か下の部屋のせいだ! ……って普通思う?  「まぁ、普通じゃないからなぁ……」  まさか、506号室に不審者が勝手に住んでる? 「あー……もう、こっちがおかしくなる」  とりあえず明るいうちに買い物を済ませて、そのついでに管理人室の投書箱にエアコンさんからの手紙をまとめて入れておいた。  もうお手上げ。  もうひとつ、外に出たついでに、真上と真下の階には入居者がいるのかどうか確かめる事にした。まだ、まだ相手の勘違いという可能性がある。できればおかしな住人のターゲットにされたというのだけは、あってほしくない。  そんな希望を込めて、上の階と下の階の郵便受けやメーターなんかを確認して、住んでるなという事を重く受け止めながら帰ったら、階段にいかにもチャラい感じの男がキレた顔で佇んでいた。 「……」  まさか、あれがエアコンさん……?  思ったより健康そうで、狂暴そうなんだけど。  あんな綺麗な字を書くの? 「おい、あんた」 「ハイッ」  声が裏返った。 「舐めた真似すんじゃねえよ。直接やりとりすんなって言ったろ?」
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