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「……ここは、あの公園?」
「武史、どうした? 急に黙り込んで」
横を見ると、大人になった博也が首を傾げている。良かった、普通に成長してくれたみたいだ。嬉しさの余り涙が溢れだす。
「本当にどうしたんだよ?」
「ごめん、ちょっと感情が……」
「まあ、そうなるよね。僕たち、やっと一緒になれるんだから。不束者だけど宜しく頼むよ」
……えっ?
「僕と一緒になるから十年以上付き合った彼女と別れたんでしょ? 二人でマンションも購入したじゃないか」
十年以上付き合った彼女って……俺の妻じゃないか! これは違う意味で危険な未来になっている。しかも、マンションを購入したのであれば後戻りできない。俺は迷わず二十年前にタイムリープした。すると、小学生の頃の博也が手を振りながら駆け寄ってくる。
「武史、やったよ。父さんと母さんも納得してくれて、武史と同じ中学校へ通えることになったんだ」
「そんなことはどうでもいい! 隣のクラスの真美ちゃんに今すぐ告白してこい!」
「ええ!? なっ、何で急に真美ちゃんが出てくるんだよ?」
「真美ちゃんの笑顔が可愛いって前に言ってただろ? 真美ちゃんは市内の私立中学へ行くって聞いた。今しか無いんだ……そうだ、お前も市内の私立中学へ行け」
「さっきまで二人で笑っていようって言ってたよね!?」
そう言えば、そんなことを言った気もする。適当に話してたからあまり覚えていないけど。
「俺はいつでもお前の幸せを願っている。よく聞け。博也は真美ちゃんと結婚して幸せな家庭を築く。そして、サーベルタイガーは忘れるんだ。いいな?」
「意味が分からないよ」
「いいから、ほら!」
博也の背中を押して、真美ちゃんの家へと無理やり向かわせる。未来が良い方向へ変わっているように願い、俺は再び二十年後へタイムリープした。すると、博也と見知らぬ女性が立っている。上手く未来を変えられたのだろうか?
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