第1章 ハジメテ

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パンツ持って来てって、私は母親か! 昼間たたんだ、理人のパンツを右手に持ち、私は再び脱衣所へ。 「理人、ここに置いておくよ。」 「サンキュー。」 扉越しに見る理人の裸は、均整がとれていて、とても綺麗だった。 途端に、家の前で理人とキスしていた、女の先輩を思い出した。 先輩、理人に抱かれたんだろうか。 急に、胸がぎゅうっと締め付けられた。 嫌だ。 そんなの嫌だ。 理人が理人でなくなっちゃう。 そんな時だった。 「なに?由乃?」 扉越しに、理人がこっちを向いている。 シャワーの音だけが、辺りに響いた。 「何でもない。」 ドキドキしながら、私は脱衣所を後にした。 どうして、ドキドキしてるんだろう。 理人の裸を見たから? 私は、頭を激しく横に振った。 その後にシャワーを浴びた私は、リビングの鍵と玄関の鍵を閉めて、二階へ昇った。 理人の部屋からは、音楽が聞こえる。 彼が好きな、女性シンガーソングライターの歌だ。 私も彼女の声、好き。 立ち止まって、しばらく耳を傾けた。 その時だった。 理人の部屋のドアが開いて、彼が顔を出した。 「由乃も聞く?」 私達は、いつも一緒。 信じて疑わなかった。 「聞く。」 何も考えずに、理人の部屋の中に入り、彼のベッドに座った。 音楽に身を任せて、体を揺らしていた。 突然だった。 理人が、音楽を止めた。 「理人?」 こっちを向いた理人は、私の知っている理人じゃなかった。 「えっ……なに?」 身構えた時には、私の体は理人の腕の中に、すっぽり埋まっていた。 「由乃……」 切ない声で、名前を呼ばれ、私は理人のベッドに、押し倒された。
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