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「はあ。融資の話と聞いていましたが?」
高級そうなスーツを身に纏った男は、深いため息をつきながらシルバーのアンダーフレーム眼鏡をくいっと上げる。
「なんや、俺は防災機器の話やって聞いたで」
ガタイがとにかく大きい男は鍛えられた逞しい腕を組みながら話す。
「俺は楽しいからおいでーってさ」
大人の男の色気を垂れ流している男は、ゆるく落ちてきた前髪をだるそげに払った。
「まあまあ、みんな揃ったんだし、ちょっと世間話ようよー。新しいホテル建てたいから融資してほしいのもホントだし、防災機器も変えなきゃって思ってるし。ただその前に、ちょーっとだけお話ししよ?」
調子の良い男は人好きのするタレ目で男たちに微笑みかける。
「なら、さっさと済ませましょう。なんの話ですか?」
「彼女との『なり初めH』の話」
「「「は?」」」
3人の冷ややかな視線を無視して男は話を続ける。
「最近彼女できたんだけど、もー可愛くて可愛くて。みんなの彼女の話も聞きたいなあって思ったんだ!新しいホテルの参考にもできるし!」
「嫌です」
「嫌や」
「うーん俺はまあいいけど。ほんとに参考になるの?」
「うん!多分! とりあえず、みんなに話してもらう手前、初めは僕から話すから。聞いてて!」
男は大袈裟に胸を張ると、三人と目を合わせながら、得意げに話しをしだした。
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