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木で囲われたガラスのドアを開けて入ると、ピアノの軽やかなBGMが耳を掠めていく。
店内はお客さんが三人入ったら混んでいるなと感じるぐらい、こじんまりとしている。
木目調の床と壁に囲まれ、天井はアイアン調のブラックのファンがゆっくり回っていた。
二人組の若い女の子が男性の店員さんを囲んで楽しそうに会話していた。私は他の店員さんがいるか探して店内へと進む。
どうやら誰もいない様だった。
……まあ小さいお店だし仕方ないよね。
とりあえずレジ前で待っていようと歩き出したところに、さっきの店員さんが棚からひょこっと現れた。
驚いてビクッと体が跳ねて一瞬硬直する。
「いらっしゃいま……ってすいません! 驚かせちゃいましたね」
店員さんは百八十センチぐらいある背丈に、無造作にセットされた栗色の髪をしていた。
整った顔立ちに優しげなタレ目が印象的で、大きな身長であっても全く威圧感を感じさせない人だった。
彼の手には派手な名刺があり、さっきのお客さんからもらったんだろうなとすぐ察しがついた。
女性人気は店の雰囲気だけじゃなく、この人による功績も大きそうだな。
「いえ……。あの、友人が予約していた物を取りに来たんですけど……」
私は真由美からもらったスクリーンショットを店員さんに見せる。
「かしこまりました。裏からとってきますので少々お待ちください。よろしかったら店内も見てみてください。意外と面白いものがたくさんありますので」
店員さんは私に微笑んで、バックヤードに向かっていった。
何気なく辺りを見回すと、マネキンがかわいらしいメイドさんの服を着ていた。
可愛い! けど、恥ずかしすぎるなーと見せる相手もいないのに考えてしまう。
『初心者用!』とポップが貼られた縄を見てドキッとしてしまう。
たしかに友人と訪れるのに面白いお店かもしれない。
お店に慣れてきた頃、棚にお店の商品の人気ランキングがあるのを見つけた。
横に実物の商品が陳列されていて、人気の商品が一目瞭然だ。
トップ3はすべてディルドだった。
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