1話 店員

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小さめの物から、それっぽくないデザインまで……やっぱり人気なんだ。 私も一時期欲しかったもんな……。ネット通販でカートに入れはしたんだけど、結局勇気が出なくて買わなかったな……。 「お待たせしました!」 「っ!……!」 この人は物音を立てない人なんだろうか、それとも私が夢中になっていたのか。 どちらにしてもじっくりディルドを物色していたところを見られて顔に熱が集まる。 「あっ!こちら人気ですよ。小さめですし、使い方も簡単ですから。ちょっとコツがあるので説明しますね」 「いや、あの……」 「? どうしました?」 恥ずかしくて言い訳をしようとした私をよそに、彼はまったく気にしていない様だった。 〝チリン〟と出入り口のドアにつけてあった鈴が鳴る。 誰かが入ってきたみたいだった。 この商品の説明をされているところを誰かに見られるなんて耐えられない。顔から火が出てしまう。 入り口から見えないように顔を背けながら急いで彼に言う。 「こ、これもお願いします!」 「説明は……はい、かしこまりました」 急いで袋に詰めてもらう。 商品は外から見えない淡い水色の袋に包み、真っ白の紙袋の中に入れ、上をシールで留めてくれる。 「お待たせしました。また、何かありましたらお気軽にお越しください」 笑顔で言う彼を横目に早々と紙袋を二つもらって出ていく。 すれ違った客は私が終わるのを待っていたようですぐに彼に話しかけに行っているようだった。 お店を出ると、夜風が頬にあたる。頬に集まっていた熱を冷やしてくれる風が涼しく、心地よかった。 真由美の家に寄ってから無事帰宅。 今日はなんだか疲れてしまった。早く寝たい……。 私は紙袋をクローゼットの前に置いて、浴室へ向かった。   『それで、使ったの?』 『何を?』 『お店で買ったやつ』 『あー、まだ開けてない』 『えーもったいないよ!』 真由美とチャットをしていて思い出した。買ってから一週間くらい経ってるかも。 そういえば飯塚さんにも最近会ってない……。次は一ヵ月後だろうか。 私の想像の中の大きな手は、顎から耳筋を這っていき、耳たぶを捏ねる。 耳に気をとられていると、もう片方の手で顎を持ち上げられ、くちびるを奪われる。 腰から入ってきた手が背中を伝い上がってきて、ブラジャーのホックを外されて……
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